mikarn777’s diary

歌詞や小説、時々日記など載せていきます。

廃病院【短編小説】

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これは昔ある廃病院で体験した話です

 

 

 

学生時代友達が車を買ったというので
仲間4人でドライブに行くことにしました。

中古車でしたがとても性能が良く友達は自慢気に乗っていた事を覚えています。

深夜お金も無い私達の遊び方というとその頃心霊スポットを巡りそこでの肝試しが流行っていました。

その日も友達が調べてきていて隣の市にもう使われていない廃病院があると言うのです。

正直恐怖はあった物のその場の話は盛り上がり早速向かう事になりました。

友達の運転で向かうことにしました。少し眠かったが話が盛り上がり楽しい道中だった記憶があります。

1時間くらいでしょうか目的地に着きました。

外観は思ったよりは綺麗でした。まだ使っているような白くて清潔感のある外観。木々に囲まれてそれはゆらゆらとまるで私たちを歓迎するように揺れていました。


しかし近くのコンビニに車を止めて歩いて近寄って行くと遠くから見た印象とは異なり壁には落書き、そして割れたガラスがそこらじゅうに転がりどんよりとした重苦しい雰囲気に廃病院なんだと改めて感じさせられました。

正直恐怖心はありましたが仲間の手前誰も怯えた様子は見せず中に入って見る事になりました。

真っ暗な病院内にじゃりじゃりと足音がなりました。それくらい足元は荒れていたと思います。

仲間たちとそれぞれ色んな部屋を観察してまわりました。中は荒廃してガラスが飛び散り危険な状態でした。

真っ暗な病院内私たちのスマホの明かりだけがゆらゆらと照らしていました。その頃は恐怖心よりは好奇心が勝ってました。

一歩一歩進んでじゃりじゃりという音が静かな病院内を包んいました。ある部屋には色んな医療器具がありました。まだ使えそうにも見えました。

違う部屋も散策するとまたジャリジャリと音が響く。壁の染みが人の顔にも見えました。気のせいだと思い込むみます。

ここはなんの部屋だろう薬品の匂いだろうか鼻をツンとする香りが漂う。恐怖と好奇心で私の心拍数が上がっていました。

もう十分だ。私はもう帰りたいと思っていました。

「2階に上がって見ようぜ」
仲間の声に一斉に皆が振り返る。静まり返った院内に声が響く。私の感想を裏切る空気の読めない友達の言動。

しかし仲間の手間怖いとは言えませんでした。


1階の散策も一通り終わり皆で2階に上がって見ることにしました。ネットの噂では2階に少女の霊がいるらしいです。

トントントントン。階段を上がる靴の音が響く。


2階につきました。しかし廊下からでは噂通りの幽霊は視認すること出来ませんでした。


ゴーと風の音が院内に鳴り響く。窓が割れているので廊下に居ても風が届く。暗く不気味な雰囲気は更に恐怖を煽っていました。

また私達はジャリジャリと散策をはじめました。

友達は早々と奥の部屋に行ってしまいました。私は手前の部屋に入ってみることにしました。

そこにはカルテと言うのだろうか医療関係の資料がそのまま放置されている。何が書かれているのだろうかは分かりません。触る勇気はありませんでした。

ジャリジャリ。ハサミやメスも落ちている。

ジャリジャリ。1人ではないと仲間たちの足音が私の恐怖を軽減してくれていました。

「なんかあった?」
「んー特に、カルテみたいなのはあったよ」
「なんも起きないね」
「そうだね、屋上行ってみる?」
「屋上あるのか、行ってみるか」

私達は集合して屋上に上がることにしました。

トントントントン。また階段に音が響く。誰もいない大きな建物だとこんなに響くものなのだろうか。珍しい体験でした。

屋上に上がるとポツンとコンビニの明かりが見えました。友達の車は丁度ここからは見えません。

夜風が強い。だがどこか心地よかったです。屋上は開放感があり重苦しい恐怖心からは解放されていました。

しかしまた中の階段をくだらないといけないのが友達には言えなかったが正直怖かったです。

「帰るか」
「そうだね」

私達は階段を1段づつ下り始めた。トントントントンとまた音が響く。
トントントントンと狭い空間で私の恐怖が伝染する。
皆の足が少し早くなりました。
そして2階まで降りました。ゴーとまた風の音が響きました。

しかしそこで私は気付いてしまった。風の音だと思っていたそれはよく聞くと男のうめき声にも聞こえました。

それは口に出すことは出来ませんでしたが皆気付いていたと思います。

「ごぉぉ」

うるさい。うるさい。うるさい。

「これってさ」
「違うよ」
私は友達が言おうとした事を制止して怒鳴ってしまった。それは反響して院内を駆け巡った。

違うよ。違うよ。違うよ。うよ。うよ。

「ごぉぉ」


「やっぱり、男の声だよ、霊いるんだよ」
「いないよ」

いないよ。いないよ。いないよ。いよ。いよ。

「いるよ」反響が終わると耳元でハッキリ男性の声がしました。


私達は声を確認すると駆け足でその場を去りました。


あの声はなんだったのでしょうか今でも分かりません。

思い出すだけで恐怖が蘇ります。

今でも時々あの声が聞こえます。
気のせいですよね?