mikarn777’s diary

歌詞や小説、時々日記など載せていきます。

2人の彼氏

 

 

いつもと同じ部屋。いつもと同じ香り。いつもと同じ人。いつもと違う光景。

私が体験した不思議な話。この話は本当に不思議な話だったので覚えてる範囲でここに書いてみます。

私は今から約3ヶ月前に付き合い始めた大好きな彼氏の家に泊まっていました。何の変哲もない1日でした。その日も幸せで在り来りな事。二人でテレビを見たり一緒にご飯を食べて幸せな夜を2人で過ごしました。本当に幸せな時間を過ごしていました。二人で一緒の布団に入りずっとこんな日が続けばと願っていました。
 
 それが朝起きたら3人になっていました。私はまだ理解出来ません。彼氏が2人います。何故でしょう。

1人は怯え。1人は私を抱き締めています。現状を理解出来ない。寝ぼけているのでしょうか夢を見ているのでしょうか。
昨日までは1人だけだったのに。

「お前誰?」
私を抱えてる彼氏が怯えてる彼氏に聞いた。抱えてる方も声は震えていた。
「蒼太だよ、お前ら誰だよ、立花さん?立花さんだよね?何してるの?」
「俺が蒼太だよ、なんだよこれ、何で俺がいるんだよ」
「は?俺が俺だよ、お前誰だよ、マジで意味わからん」
もう1人の彼氏は息を大きくしていた。私はただ二人の後ろで震えていました。
「落ち着けよ」
「落ち着けるかよ、警察呼ぶわ」
「待てよ、警察呼んでなんて説明するんだよ、取り敢えず落ち着いて考えようよ」
無言が3人を包み込む。何分くらいたったのだろうか、それはとても長く感じた。二人の彼氏は一人はベットの上、一人は椅子の上に座っていた。私は彼の隣に座りその二人様子をじっと見つめていました。
「何が起きたんだよ、まず立花さんは何してるの?」
「何してるのって、昨日泊まってそのまま一緒に寝たからそのまま」
「え、俺と立花さんが?何で?」
「何でって恋人だし」
「え、いや、違う」
彼は気が動転しているのだろうか私と昨日一緒にいた事を忘れているようでした。
「昨日は映画を見て、一緒に寝た。俺が本物だ。俺が本物だ。」
もう一人の彼は一点を見つめながら小言を繰り返していた。彼も気が動転しているのでしょう。私も焦りはあるが二人を落ち着かせなければいけない。私はキッチンに行き三人分のコーヒーを沸かせる事にしました。
 その間も二人は黙り込んでいた。
「立花さん何でコーヒーの場所知ってるの?」
「だって何度も来てるから」
「俺と立花さんが?分からない。やっぱりおかしい」
「俺とな。お前じゃない、俺と遥が付き合っているんだ。何度もコーヒーを作ってもらった。俺が本物だ。」
「まってちょっと、すぐにわくから、一旦落ち着いて」
はあ、二人同時にため息をこぼす。やはり二人とも蒼太だ。私の中の恐怖は少しづつ消えていて好奇心の様なものがじわじわと湧いていた。椅子に座っている方の蒼太は確実に私の知っている蒼太で昨日までの蒼太だ。そのおかげもあり安心感もあった。
湯気が立つ。コーヒーを二人の元に置きにいった。
「いったいどうなってんだ、現実なのかまだ理解出来てない、どうしたらいんだ」
私の知っている方の彼氏は私の腕を組み少し怯えている。こんな時でも私は彼を可愛いと思ってしまった。
もう一人の彼は布団を半分被ったままベットから動こうとしない。何でこっちの彼は私の事を知らないのだろう。いや名前は知っているようだ。だが仰々しく苗字で呼んでくる。
「いつから付き合っているの?」
「いつからってイルミネーションを見に行った時だよ、自分に質問されるの気持ち悪いな」
「自分に質問するのも気持ち悪いよ」
 二人とも機嫌が悪い。一触即発しそうだった。私が何とか間に入り上手く中和しないといけないと本能的に感じました。
「もっと本人しか知らない質問すればいんじゃない?」
「あ、ああ、そうだな、誕生日は?」
「7月22日」
「正解」
「血液型は?」
「A型だよ」
「正解、はあ、どうでしよう、思いつかないな」
「ちょっとまて次は俺に質問させろよ」
「あ、ああ、いいよ」
「母親の名前は?」
「聖子だよ」
「正解」
「父親の名前は?」
「正樹」
「正解」
「ちょっと二人とも何か調べれば出来そうな質問ばっかりじゃんもっと何か無いの?」
二人は同時にコーヒーをすすった。少し考える。
「はじめて見た映画は?」
ゴジラだよ、他の怪獣がいっぱい出るやつ、あの、ほら名前は出ないけど」
「んー、正解だ、これは本当に俺かもしれない」
また二人は同時にコーヒーを飲んだ。
私はそんな姿が愛おしく思えて笑えてきた。
「立花さんは何してるの?」
「何してるのって昨日から一緒にいたじゃん」
「どうしても思い出せない、やっぱり変だよ、立花さんがいるのは、俺がいるのも変だけど」
「何で私の事を覚えないの?」
「いや立花さんは知ってる。仕事で一緒じゃん、でも付き合ったりはしていない、うちの場所も知らないし、コーヒーの場所も知らない。俺に彼女もいない」
「やっぱり偽物だな、俺が告白してほぼ毎週彼女はうちに来てくれたし何度もコーヒーを沸かしてくれた、料理も作ってくれたじゃん」
 本物の蒼太は優しかった。偽物の蒼太は私と過ごした日々を全く覚えていなかった。悲しかったです。蒼太が何人いても私を知らない蒼太がいるのは傷つきました。少しづつ涙が出てきました。私は蒼太の事をこんなに知っているのに全く理解が出来ませんでした。蒼太なのに蒼太じゃない彼をじっと見つめる。彼は怯えた目でこっちを見ている。
「動くなよ」
「何でそんな事言うの」
「近寄るなよ」 
「大丈夫だよ怖がらないで」 
 彼は布団にくるまりながらじっと睨みつけてくる。それは小動物にも見えるし肉食動物にも見える。とても恐ろし目だ。警戒と不安が混じり合い攻撃的な表情をしていた。荒い息だけがこの沈黙の部屋に響いていた。
「気を付けて」
「うん。大丈夫」
「出ていけよ、出ていけよ」
彼が怒鳴る。部屋に響くその声は私を一瞬怯ませた。
「俺の部屋だからお前が出ていけよ」
「いいから出ていけよ」
 彼は勢いよく起き上がり私を力いっぱい突き飛ばした。私は床に座り込むしか無かった。
そして彼と彼は同じ服を掴み合い。お互い引っ張り合う。お互い同じ力なのか全く微動だにしない。
「遥助けて」
 彼が叫ぶ。私は慌てて何か彼の助けになる物を必死に探した。私はテーブルの上にあった灰皿で彼の頭を力いっぱい殴った。
「うっ」
 彼は苦しそうに死ながらも私の彼に鬼の形相でしがみつく。
「遥もう1回」
 私は彼を守るために彼を殴った。ドンと硬いもの同士が重なる鈍い音が響く。力が抜け膝から崩れ落ちる。それでも彼は必死に抵抗する。私は狂気の中無我夢中でガラスの灰皿を振り下ろし続けた。
 
 そこから私は意識を無くした。私は気が着くとそこに彼が一人。赤と黒の混ざった液体を零しながら白目を半分開けていた。ピクピクと痙攣している。私は灰皿を手に取り偽物の彼に口付けをした。

香水の歴史

歴史1

 


香水の歴史

香水のはじまりは10世紀前後であり、それまでは香料そのものが利用され、香水と香料の境目も明確ではありませんでした。

 


古代エジプトでは、ミイラの防腐、殺菌、保存に香料が使用されたことから、香料は薬品的な必要性から生まれた物質と考えられます。

 

 


また、旧約聖書に登場するシバの女王は有名なエピソードですが、シバ王国の女王がイスラエルのソロモン王と会見した際、金、宝石、乳香(にゅうこう)、白檀(びゃくだん)などを贈りました。

 


ここで注目すべきは、白檀(びゃくだん)や乳香などの香料が金や宝石と同等の宝物に見なされていました。

 


美容や宗教儀式として重宝されてきた香料は香辛料とほぼ同意義であり、古代では東西交易(シルクロード・絹の道)の重要なアイテムでした。

 


十字軍の東方遠征で香料はヨーロッパにも拡がり、近世の世界的な航海時代でも東西交易のもっとも重要な産物でありつづけます。

 


香料は、東西貿易の重要産物

ヨーロッパ、中近東(アラビア)、インド、中国、日本の間をめまぐるしく行き来する商船隊がもっとも重視して運んだものは、乳香(にゅうこう)・没薬(もつやく)・白檀・日桂(にっけい)・胡椒・伽羅(きゃら)・イリスなどでした。

 


現在では考えにくいことですが、香辛料は金銀(ゴールド・シルバー)より高価と言われていました。

 


現在でも、たとえばブルガリアローズオイルはゴールドと同程度の資産価値があると見なされていますが、古い時代の香辛料は同等に資産価値がありました。

 


なぜなら香辛料のように軽くて高価なものは交易にうってつけだからです。

 


香水の歴史

アルコールの発見が香水の起源になります

香水の歴史は、香料の歴史からはじまりましたが 香水の登場は、アルコールが発見されてからのことです。

 


香水の製造は、製造可能となる10世紀以降から本格化しますが、それまで「香りもの」とは、すなわち「香料」であり、必ずしも液体として楽しまれてはいませんでした。

 


香水は、香料から分化したものと考えて差し支えないと思います。

 


香料は、香料・食品・医薬品・化粧品へと分化しましたので、香水は香料のひとりの子供的な存在です。

 


香水が、必ずしも香料から分化していなかった時代から現代まで、香水の歴史を見ていきましょう。

 


クレオパトラのバラ風呂、香水文化成立の予感

クレオパトラ(クレオパトラ7世)は古代エジプトプトレマイオス朝最後の女王です。

 


ローマ帝国屈指の英雄を魅了する絶世の美女と言われていました。

 


美女かどうかは昔のことで実際のところはよくわからないところですが、バラ(薔薇)に関する言い伝えがいろいろあり、とにかく香水の歴史教科書では、必ずそのエピソードが語られます。

 


なぜならクレオパトラは体臭をバラ臭に変える努力をした最初の人間として歴史に刻まれているからです。

 


香水とは言えませんが香水文化成立の予感を感じさせます。

バラ風呂やバラ宮殿など

カエサルアントニウスといった英雄を迎える際、廊下や寝室にバラを敷き詰めたという話には空想をかき立てられます。

 


また、クレオパトラが乗った船はバラの香りが漂い遠くからでもそれがクレオパトラの船だとわかったという伝説もありす。

 


いろいろ誇張されているでしょうから差し引いて考えるべきですが、それでも大量のバラが消費されたことが伺えます。

 


東西の歴史の語るところでは、権力者が何かの趣味を持っていれば、それは宮人や貴族たちに必ず伝播(でんぱ)しますので、旺盛(おうせい)なバラ需要が推測されます。

 


そこでこの時代には、すでに権力者向けのバラ畑があり、すでに人工的に栽培されていたのでは?と考えられています。

 


ローマ時代のバラ風呂

香料が宗教行事や医薬品としてでなく、香粧品(化粧品、トイレタリー)として広く使用されるのはローマ時代からです。

 


ローマ人は、西洋では珍しいことに水浴(水浴)やお風呂に入る習慣があり公衆浴場もさかんに建設されました。

 


現在でもイタリアをはじめ、イギリスやフランスなどローマ帝国の支配が及んだ地域に遺跡として数多く発掘されています。

 


余談ですが、お風呂文化はローマ帝国の崩壊とともにすたれ、その後ヨーロッパ人はお風呂と無縁な生活習慣を築くことになります。

 


そのため体臭がひどく、それをかくすために香水文化が生まれた、という部分もあることは、皮肉な歴史です。

 


ローマ時代は、公衆浴場が流行したと同時に「バラ風呂」などバラの花や精油を使用した生活文化が記録に残されています。

 


クレオパトラによって愛されたバラ風呂は、まだエジプト時代では社会的にはごく限られた一部の人だけが享受できたことですが、一般的に広く(とは言ってもまだまだ貴族など権力者だけの間ですが)バラが使用され始めます。

 


しかも飲んだり肌に付けたり利用方法も多様化します。

 


パーティで部屋をバラの花で埋めたり、お風呂に浮かべたりお酒に入れたりしていたようです。

 


バラの香りを楽しむという点で香水文化の前哨戦的な位置にあります。

 


アラブ・アラビアの『ローズウォーター』

中世イスラム錬金術

中世イスラムでは錬金術が盛んでした。

 


錬金術は他のものからゴールドを創り出すというファンタスティックな魔法で、それ自体は、やや怪しげな活動ですが、結果的に化学をはじめ科学全体のレベルを上げることになります。

 


アラビア人たちは、錬金術の装置の一つとして制作されたガラス製や金属製の蒸留装置でもって、バラを蒸留するようになります。

 


ここでローズオイルとローズウォーター(バラ水、フローラルウォーター)の誕生です。12世紀頃です。

 


エッセンシャル・オイルを抽出する「水蒸気蒸留法」という手法をはじめて確立し、またローズオイルとローズウォーターをはじめて精製した人物が、アラビアの偉大な科学者兼医学者イブン・シーナ(英名:アビセンナ)でした。

 


イブン・シーナ先生の『医学範典』(カノン)は近世までヨーロッパの主要大学の医学の教科書でした。

 


この例からも、この時代、いかにアラビアが進んだ文明を誇っていたか忍ばれます。

 


イスラムの宗教儀式としてローズウォーターが重宝されたことから、ローズウォーターには安定的な需要が発生します。

 


アルコールの発見

同時期、同じ蒸留器で発酵物からアルコールが抽出されることが知られるようになりました。

 


アルコールという物質の存在と、その製法が未熟ながらも生まれたのです。アルコールのアル(al-)は、アラビア語に起因します。

 


精製方法が確立されたアルコールと、ローズの花や、蒸留されたローズオイル、ローズウォーター(バラ水)はすぐに出会い、幸せなフレグランスが生まれた瞬間です。

 


香水の原型か? ハンガリーウォーター

アルコールに香料を溶かす製法は、基本的に現在の香水と同じで、現代香水の元祖とも呼ばれます。

 


この後の「ハンガリーウォーター」を現代香水の元祖とする人もいて意見は分かれるかもしれませんが、この辺が香水の原型です。

 


このあと十字軍はバラと蒸留器と、バラ水、アルコールの蒸留技術、そして香水をヨーロッパに持ち帰ることになります。

 


ハンガリーウォーター」

ハンガリーウォーターをご存知でしょうか?

 


いろいろな伝説があってよくわかりませんが、ハンガリー王妃エリザベートのために14世紀、ハンガリーの僧院で作られたと言われています。別名『若返りの香水』。

 


72歳のハンガリー王妃エリザベートに献上され、洗顔、化粧、入浴などに使用され持病のリウマチが治ったばかりか、若さまで取り戻し、ポーランド国王からプロポーズされたという伝説があります。

 


※間が欲しいです

 


ハンガリーウォータはシャンプーの後のリンスに用いると髪につやが出ると言われ現在でも使用されています。

 


当時アラビアで発明されたばかりのアルコールにローズマリーやローズオイルを加えたもので、作り方が簡単なので現在でも手作り化粧品(処方:エタノール+精油)として人気があります。

 


 

いかがだったでしょうか!この動画の続きは香水の歴史2として後日アップ致しますのでそちらのチェック、チャンネル登録、Instagramのチェックもよろしくお願いします😊

 

Calvin Klein の歴史

CKの歴史


アメリカのファッションデザイナーであるカルバン・クライン氏が幼馴染で親友であるバリー・シュワルツ氏と1968年に創設されました。


創業者であるカルバン・クラインは、1942年、ニューヨークのブロンクスで生まれます。そして何と、5歳の頃から既に服のデザインに関心があったと言われており、その才能の早熟ぶりには驚きます。

その後、ニューヨークのマンハッタン・ハイスクールからファッション工科大学(FIT)へ進学し、大学卒業後は、ダン・ミルシュタイン・ハウス・オブ・デザインで勤務。

この頃、父親が経営する食料品店でファミリー・サークル誌を拾うと、偶然にも自分がデザインした女性用コートが載っているのを発見します。これをきっかけに将来、デザインの方向への進むことを決断したクラインは、アパレルメーカーなどを経て、1968年、幼馴染で親友のバリー・シュワルツと共にCALVIN KLEINカルバンクライン)社を創業。当時のラインは3着のドレスと6点のコートだけ。さらにシュワルツの父から、1万ドルを借金してのスタートでした。

CALVIN KLEINカルバンクライン)の最初の店は、セブンス・アベニューのヨーク・ホテルの中にありました。ある日このホテルで、ボンウィット・テーラー百貨店のマーチャンダイザー、ドン・ポブライエンが間違って6階に降りてきてしまい、偶然にもCALVIN KLEINカルバンクライン)のコート・ラインを目にします。これをきっかけにしてボンウィット・テーラー百貨店から5万ドルのオーダーを受けることになり、クラインは最初の成功を掴みました。


1970年代、CALVIN KLEINカルバンクライン)は多角経営に乗り出します。72年にスポーツウェア部門を設置し、同年3月には、化粧品・香水の会社を設立。写真家アーヴィング・ペンとのキャンペーンにも成功し、1973年には過去最年少でファッション界のアカデミー賞とも称されるコティ賞を受賞。70年代後半以降は、ジーンズや下着なども手がけるなど、業績を順調に伸ばして行きます。

特ににジーンズの広告キャンペーンでは、当時まだ15歳だった女優のブルック・シールズを器用。タイトなジーンズをはいてセクシーなポーズを取るシールズと、「私とカルバン(のジーンズ)の間には何もない」という挑発的なキャッチコピーは反響を呼びます。その後70年代から80年代にかけてのCALVIN KLEINカルバンクライン)のセクシャルな広告は常に議論を巻き起こし、ファッション業界で注目の的となっていきました。


1980年中期以降、CALVIN KLEINカルバンクライン)社は、コレクションのサンプルや使用素材などをカンザス州立大学へ寄付したり、エイズ研究に取り組む非営利団体のチャリティーパーティを開催するなど、文化事業や社会貢献などに対して、精力的な活躍を開始します。

さらに92年にはセカンドライン「CK Calvin Klein」を創設、また1995年には、ニューヨーク・マジソン・アベニューに旗艦店(きかんてん)をオープン。同年、ヨーロッパで最初のCALVIN KLEINカルバンクライン)コレクションを開催するなど順調な業績ぶりを見せます。

しかし90年代後半から、低価格販売による大衆化によって「CK」の名前の入ったTシャツ等が世の中に出回り、ブランド価値が著しく低下。その時期に流行した下着のボクサーパンツのおかげで何とか会社の業績を維持するも、2001年にはアメリカ市場から「CK Calvin Klein」を撤退することになります。

また、2002年にはCALVIN KLEINカルバンクライン社を4億3000万ドル(520億円)で、アメリカのアパレル会社フィリップス・バン・ヒューゼン(PVH)に売却。PVH傘下に入ることになり、2003年には創業者であるカルバン・クラインがデザイナー引退を決意します。
90年代後半から数年間は、CALVIN KLEINカルバンクライン)にとっての転換期に入っていました。


2004年、後任デザイナーとしてウィメンズラインのクリエイティブディレクターに就任したのは、フランシスコ・コスタ。メンズラインはイタロ・ズッケーリ。Gucci(グッチ)、BALMAIN(バルマン)などのトップメゾンで経験を積んだコスタと、Jil Sanderジル・サンダー)やROMEO GIGLI (ロメオ・ジリ)のデザインチームなどを経ているズッケーリ。CALVIN KLEINカルバンクライン)というブランドに、新たな風を入れています。

「全てはカッティングから始まる」という創業者の言葉通り、ボディラインを強調した洗練されたシルエットがニューヨークのキャリアウーマンに受けられ、「働く女性」の普及の流れに乗る形で成功したCALVIN KLEINカルバンクライン)。さらに近年の作風は、よりシンプルで洗練されたものへ変化を遂げています。


2016年春にフランシスコ・コスタとイタロ・ズッケーリが揃って退任したのち、2016年夏にラフ・シモンズがチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任。カルバン氏同様にミニマリズム系デザイナーでJIL SANDERのデザイナーとして活躍していました。そんなラフの存在は、「カルバン・クライン」に大きな注目をもたらした。ショーには、グウィネス・パルトロウ(Gwyneth Paltrow)やジュリアン・ムーア(Julianne Moore)、ニコール・キッドマンNicole Kidman)、ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)などの大スターやセレブが詰めかけ、2018年の第90回「アカデミー賞(Academy Awards)」で主演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)は授賞式で「カルバン・クライン バイ アポイントメント(CALVIN KLEIN BY APPOINTMENT)」のドレスを着用した。しかし、ラフのコレクションは創造力にあふれていて業界受けはよかったが、一般に売れるタイプの服ではなく、店舗での売り上げが悪かった。そしてラフは、コレクション以外の製品にそれほど真剣に取り組まなかったので、その売り上げも伸びなかった。商業的な裏付けのないアートは、上場企業では扱えないといったことなどの理由から同2018年に偉大なるデザイナー、ラフ・シモンズを退任する形になりました。


退任発表後、スティーブ・シフマン(Steve Shiffman)=カルバン・クライン最高経営責任者が、事情を説明する以下のメールを取締役などに送付した。「『カルバン・クライン』のコレクション事業および事業全体を今後どうするのかについて、現在さまざまな角度から検討している。チーフ・クリエイティブ・オフィサーのラフ・シモンズとは、方向性の違いにより、互いに別々の道に進むことを友好的に合意したと伝えました。そしてあるインタビューでは、ラフの『カルバン・クライン』への貢献に感謝している。彼のおかげで、よりクリエイティブなブランドとなることができた。ラフの今後の活躍、そして彼のブランドのますますの発展を心より願っていると素敵な言葉を残しています。


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モテる香水

 

まず香水にはどんな種類があるのか香りの系統や自分に合う選び方

香水は香りの持続時間や濃度によって、または香りの系統によって種類が分けられます。使用するシーンや自分の雰囲気、好みに合わせて香水を選んで、その時の自分にふさわしい香水を纏うのが大人のたしなみになります。本動画では香水の種類について解説した上で、自分に合う選び方や正しいつけ方を紹介します。

 


【濃度別】香水の種類と特徴

 


種類までは細かく規定(きてい)されていません。しかし香水は大きく濃度別、

香料の種類別、香りの系統別に分けられます。

香水の原料は、香料とアルコール、蒸留水。このうち、香料が占める割合を賦香率(ふこうりつ)と言います。この賦香率の違いで香水の種類が分けられます。賦香率は、香りの持続時間やふさわしいシーンに影響する基本的な部分です。まずは濃度によって分類される、香水の種類について解説します。

 


パルファム

香料の濃度が15~25%のものを、パルファムと呼びます※。最も香りが強く、完成度と芸術性の高い香りが楽しめるので、香水ラインの最上級に据えられていることが多いです。

香りの持続時間は5~7時間と長く、少量で効果があるため、つける場所や状況に注意する必要があります。主にパーティや慶事(けいじ)など、フォーマルな場にふさわしいとされます。価格は比較的高めですが、芸術性の高い香りが楽しめます。
※香料の濃度は各社に違いがあります。

 


オードパルファム

香料の濃度が10~15%と、パルファムよりやや低めのオードパルファム。「EDP」と略称が表示されているものもあります。「オード(Eau de)」とは、フランス語で「水の」という意味です。濃度が低めではあるものの、香りの強さや持続時間はパルファムに近いのが特徴です。価格は控えめな割に、香りの持続時間は5時間前後と、上質な香りを気軽に楽しめます。

 


オードトワレ

香料の濃度が5~10%のものは、オードトワレと呼ばれます。「トワレ」とは化粧室のことで、文字通り化粧室を使う度につけるくらいでちょうど良く、日常使いに向いています。持続時間は3~4時間で、ほんのり香るのが特徴です。

市場に流通している香水は、ほとんどがオードトワレに分類されます。軽くて柔らかな香りは、気軽に、使用シーンを問わずどこででも楽しめるため、香水初心者にもおすすめです。

 


オーデコロン

香料の濃度が3~5%のものは、オーデコロンに分類されます。オーデコロンは、本来「ケルンの水」という意味を持つ言葉。これは、ドイツのケルン(フランス語でコローニュ)で売り出された香水に由来しているとされています。

香りの持続時間は1~2時間ほどで、爽快感やリフレッシュ効果が期待できる、どこででも楽しめる香りが魅力的です。入浴後や短時間香りを楽しみたい時に使ってみてはいかがでしょうか。

 


香り立ちについて理解する

香水は、つけてから時間の経過に伴って香りが変化していきます。これを香り立ちと言い、大きく3つの段階に分けられます。

 


<トップノート>
香水をつけてから5~10分で香る部分で、最初の印象とされます。揮発性(きはつせい)の高いものを指し、爽やかな(さわやか)軽さと広がりや、香りに特徴を与える役割を果たします。該当するのは主にシトラス、グリーン、

フルーティーノートなどです。

 


<ミドルノート>
つけてから30分~2時間くらいに香る部分。中程度の揮発性、保留性を持ち、その香りの中心部となっている場合が多いです。主に、フローラルノートが該当します。

 


<ベースノート>
香水をつけてから2時間~消えるまでの香りで、別名「ラストノート」とも呼ばれます。つけた人の肌の上で独自の香りになるとされる部分で「残り香」と表現されることも。ベースノートは揮発性が低く、保留性が高いのが特徴です。主にウッディ、ムスク、バルサミックノートなどが該当します。

なお、香水はトップノートが好みでも、時間が経つと合わないと感じることもあります。トップノートだけでなく、しばらく時間が経過した後の香りも確かめて香水を選ぶことが大切です。

 

 

 

モテる男の香水ランキング

独断と偏見です。異論は認めます

 


4位

CK be

ck beは、常識にとらわれず自由に考え、行動する力を与えてくれると言われてます

「シーケービー」は爽やかさの中にスパイシーさも感じられる香り。男らしく、セクシーな香り立ちは、女性も思わず振り返ってしまいそうです。

 


つけたてはベルガモットとハーブが爽やかに香ります。時間がたつにつれて、少しスパイシーな香りがさりげなく香り、個性も出せそうです。ラストではサンダルウッドなどの落ち着いた、ほんのり甘い香り立ちで柔らかな印象に。

 


シーケーワンと比べるとムスクが強めに香ることが特徴です。シトラス系のさっぱりした香りより、男らしい色気のある香りが好きな方はぜひこちらの香水を試してみてくださいね。

香調 : シトラス

濃度
オードトワレ
トップノート
ベルガモット

ジュニパーベリー

マンダリン

ミント

ラベンダー
ミドルノー
マグノリア

ホワイトピーチ

ライトスパイスブレンド
ラストノート
サンダルウッド

オポポナックス

トンカビーン

 

1位

Dior SAUVGE

ソヴァージュは、ベルガモットのフレッシュな柑橘感とウッディアンバー調の大人の色気がバランス良く漂うフレグランス。トップノートはかなり強めで男性らしさもしっかり感じられますが、時間が経つほど優しくユニセックスな印象になっていく点が非常に現代的です。

 


Diorらしいムスキーさも加えられているため、シャワージェルや石鹸のような清潔感があり意外と親しみやすいはず。やりすぎないセクシーさが心地よく、「もっとそばに居てほしい人」を演出します。

 


ただし香りの拡散性はかなり強めなので、つけ過ぎには要注意!手首や胸に付けるとパワフルに香りすぎるので、下半身やウエストに少量をスプレーすると良いでしょう。

トップノート:フレッシュな柑橘の香りが潮風のようなスプラッシュ感を演出

カラブリアベルガモットの素晴らしい爽やかさに男性らしい色気を加えたフレッシュな幕開け。明るく清潔感のある香調ですが、アンブロクサンの主張もしっかり感じられます。

 


塩気のある水しぶきを浴びたかのような爽快感が心地よく、心身ともにすっきりリフレッシュできそう。またペッパーのピリッとした刺激が、ハンサムな印象を際立てます。

 


ミドルノート:上品なフゼアノートに変化。徐々にジェンダーレスな印象へ

徐々にゼラニウムやラベンダーの香りが目立ち始め、クールながらどことなく華やかなフゼアノートに変化。ムスク調の甘さも出てきて、トップノートのいかにもメンズらしい香りからは一変、中性的な印象になっていきます。

 


ピンクペッパーや四川山椒のアクセントがシャープさを添えていますが「スパイシー」と言う感じではありません。ここから少しずつ、暖かみ・柔らかさを感じる香りへと移り変わっていきます。

 


ラストノート:優しく暖かいウッディアンバー調の余韻が残る

貴重な天然香料「竜涎香(アンバーグリス)」の香りを再現した合成香料「アンブロクサン」がソヴァージュ一番の主役。ラストノートはこのアンブロクサンのムスク調の甘さが長く続きます。

 


上質なボディウォッシュやシャワージェルを思わせる清潔感と共に、リキュールのようなこっくりとした甘みを持つラブダナムの芳香がほんのり。安心感のある優しい余韻は、気候によっては5~6時間ほど持続します。

 


3位

ACQA DI PARMA

アランチャ オーデトワレのこのフルーティーな香りは、オレンジ、マンダリン、レモンの明るく鮮やかなトップノートが特徴です。

その後、プチグレンが濃厚なカルダモンの香りと融合し、この香りのベースであるキャラメルの軽いタッチとムスクの官能的なノートで締めくくられます

 


トップノート:イタリアン スウィート オレンジ、イタリアン マンダリン、イタリアン レモン

ミドルノート:プチグレン、カルダモン

ベースノート:キャラメル、ムスク

 

2位

 


BURBERRY HERO バーバリー ヒーロー オードトワレ

トップノートのベルガモットが爽快感と明るい印象を与え、ミドルノートとラストノートのウッディ系の香りにブラックペッパーとジュニパーのスパイスが重なり、力強さを演出します

 


「『バーバリー ヒーロー』は力強さと繊細さの二面性をイメージしています。バーバリーのタイムレスな魅力と現代的な感覚を併せ持つ、普遍的でありながらユニークな香りです。このフレグランスでは、あらゆる男性の中にある動物的本能と真の人間らしさを表現しました。」

調香師、オーレリアン・ギシャール

 


弾けるようなベルガモットやジュニパー、ブラックペッパーが明るく爽快感あふれるフレグランス。バージニアアトラス山脈ヒマラヤ山脈といった3つの原産地で育まれた温かみのあるシダーウッドが、爽やかな香りに深みを与えます。

 

 

 

 


香水の正しいつけ方

香水をつける時は、塗布する場所を清潔に保ちます。汗をかいていたり、前につけた香水が残っていたりすると、他の香りと香水の香りが混ざり合って香りが変化してしまいます。

また、香水は適量をつけることが大切です。適量は香水の種類によって異なります。濃度の濃いパルファムなら1~2滴で十分香ります。オードパルファムやオードトワレは1~2プッシュ、オーデコロンならつけたい場所から10センチほど離して2〜4プッシュが目安です。

香水は、自分ではちょっと物足りないかな、と思うくらいが実は適量なのです。香りは下から立ちのぼる特性があるので、ひざの裏やくるぶしなど、下半身の脈打つ部分につけると効果的と言われています。

 

 

 

いかがだったでしょうか?この他にも香水の歴史についてまとめた動画もあります!良かったら参考にしてください!

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シャルル【仮】第1話

弱肉強食、という言葉がある。

 強きものが弱きものを糧とし、更に強きものの糧となる。そうして弱きものは搾取され、強きものは栄えていく。

 だが、強きものもいずれ死を迎える。そして土に還り、弱きものの糧となる。生きとし生けるすべての命は循環していくのだ。

 その輪の中で、最も強きものとは何か。

 百獣の王である獅子か。高き空を統べる鷹か。海の全てを食い尽くす鯱か。

 否。それらよりも弱く、愚かでありながら、強者を騙る存在がいる。

 それが我々、人間だ。蛇に唆され、神の知恵を盗んだ存在。自らを神に近い存在と錯覚している小さな者達。

 自然を開拓し、弱きものを捕らえ食らい、個を増やしていく。生物としての自然な営みではあったが、身に余る知恵を手に入れた人間のそれらは、傲慢以外の何物でもなかった。

 当然、神が許す筈もない。創造主は、人間の手で歪められた世界の調和を整えるものを新たに造り出した。純粋な力による秩序の担い手を。

 それが、鬼という存在である。

 鬼がいつ、どのように生まれたのかは誰も知らない。だがある日突然現れ、彼らは人を食らった。自らが食物連鎖の頂点であると驕っていた人間を、食物としたのである。まさに天敵と呼ぶべき存在であった。人々は鬼から隠れ、いつ食われるかわからない日々に怯えた。

 そこで自分達が弱きものであることを認め、慎ましく生きていくという選択肢もあった。自分達は大いなる命の輪の一部に過ぎないのだと自覚し、傲慢であったことを悔いることもできた。

 だが人間達は、一度得た強きものとしての地位を手放すことなど出来なかった。そして知恵を使い、小賢しく生き残ることを選んだ。

 鬼に生け贄を差し出すことにしたのだ。

 鬼にしてみれば、人間は吐いて捨てるほど存在しているのだから、食うに困ることなどない。生け贄の話を持ち出したのは人間だった。年に一度、それぞれの村が肉質の良い人間を捧げる。そうすることで、村の人間は守られた。村の外に住む盗賊や旅人は食われるが、それは村にとってはどうでも良いことだった。他者が犠牲になろうとも、自身が生き残るのであれば、それで良かったのだ。

 生贄を捧げるようになってから百余年。人々は鬼に怯えながらも、見かけ上の平穏な日々を過ごしていた。

 人間にとって百年という年月は決して短くはない。そのうちに、何故生贄を捧げるようになったのか、その経緯は忘れられた。始まりは自分達の愚かさだったにもかかわらず、一方的な鬼への憎しみと、神に理不尽を嘆く声だけが残った。

 それほどまでに、人間とは身勝手な生物だった。

 

 

「さようなら」

 

 夕焼けを映して煌めく小川の辺で、彼女はそう言い残して去っていった。

 呆然と立ち尽くす頭の中で、彼女の言葉がぐるぐると回る。

 もう貴方とは一緒にいたくない。

 会いたくもない。

 放っておいてほしい。

 さようなら。

 一方的に拒絶の言葉をぶつけられ、何が何だかわからないまま、きらきらと光る水の流れを見つめている。

 彼女の頬にも、一筋の光があった。

 その涙の意味はわからない。だが、憤りや嫌悪といった感情によって流れたものにしては、あまりにも美しかった。ほんの一瞬、見惚れてしまうほどに。

 私は川縁に腰を下ろし、赤く染まった空をぼんやりと見上げた。

 あれは彼女の本心だったのだろうか。何故か自分にはそう思えなかった。きっと、事情があるに違いない。そう思いたかった。昨日まで愛し合っていた女性に、突如別れを告げられたのだ。簡単に受け入れられる筈もない。

 明日、もう一度彼女に会おう。私はそう決めて立ち上がった。もしあの言葉が彼女の本心だとしても、彼女にそう思わせてしまうような何かがあった筈だ。一緒にいられないのなら、せめてそれだけでも謝りたい。

 翌日、私は村の南通りにある彼女の家を訪れていた。彼女が好きな、マーガレットの花束を手にして。

 深呼吸をして、扉をノックする。返事はない。続けて彼女の名前を呼ぶ。すると、中で人が動く気配がした。

 私は縋るように扉に張り付き、再び彼女の名を呼んだ。

 

「頼む、話をさせてくれないか」

 

 懇願するが、返事はない。

 彼女との言葉を交わさない時間が、私は好きだった。教会裏の木陰で。村外れにある花畑で。川沿いの草むらで。草木の揺れる音や水のせせらぎ、虫の声に耳を傾けながら彼女と過ごす時間は、何物にも代えがたい至福の時だった。

 だが今は、重苦しい沈黙が二人を隔てている。

 耐え切れず、私は矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。

 

「君が一緒にいたくないというなら、それに従うよ。ただ、理由を教えてくれないか。君を傷つけたのなら、その償いだけはさせて欲しいんだ」

「……帰って」

 

 扉のすぐ傍で、絞り出すような声がした。その声音は愁いを帯びているように思えたが、同時に強い拒絶の意思を持っていた。

 私は察して、扉から離れた。

 もしかしたら、彼女の本意ではない、私と離れざるを得ない事情があるのかもしれない。本当は、まだ私を愛してくれているのかもしれない。だが、最早真実を知ることに意味はなかった。

 どんな理由であれ、彼女は拒絶という選択をとったのだ。それを覆す術は、私にはないのだろう。

 私は「すまない」と小さく呟いて、彼女の家を後にした。

 

 家路につく気にもならず、花束を抱えたまま、私は小高い丘を登った。

 村を見下ろすように建てられた教会に立ち寄ると、椅子に座ってぼんやりと辺りを見回す。

 数えるほどしか人がいない礼拝堂の隅に、一組の男女が座っている。愛を語らっているのか、二人の顔には幸せそうな笑みが浮かんでいた。

 一昨日までは、私と彼女もああやって笑っていたのに。

 そう思うと、ぎゅうと胸が締め付けられた。ようやく、もう彼女に会えないのだという実感が湧いた。ただひたすら虚無感に襲われる。

 どうやら自分で思っていた以上に、彼女の存在は私の心の多くを占めていたらしい。胸にぽっかりと穴が空いたようだった。彼女以外にこの穴を満たしてくれる存在がいるとは、到底思えなかった。

 その時、背後の椅子に座る二人の老女の会話が聞こえてきた。聞く気はなかったが、放心していた私の耳には、否応なしに彼女達の声が滑り込んできた。

 

「今年は誰だって?」

「ほら、南端の家の……」

「ああ、鍛冶屋の手伝いをしている娘だね。可哀そうに」

「若いもんを犠牲にして、儂等年寄りが長生きするなんてねえ」

「しょうがなかろうよ。骨と皮しかない儂等じゃあ腹の足しにもならんのじゃろうて」

 

 ぼそぼそと流れていく老女達の言葉に、私はふと我に返った。

 南端の家に住む、鍛冶屋の手伝いをしている娘。それは彼女のことだ。

 今年は――

 若いもんを犠牲にして――

 腹の足しにも――

 頭の隅に引っかかったそれらの言葉が、ぐるぐると回る。

 そして私は、ひと月後に何があるのかを思い出した。

 春のはじめ。夏の豊穣と村の平和を祈る、大切な祭り。

 その祭りでは、若い村人の中から生贄が選ばれるのだ。

 私は立ち上がり、司祭の部屋へ走った。

 

「司祭様!」

 

 勢い良く扉を叩くと、中から驚いた様子で司祭が出てきた。

 

「どうしたのかね」

「豊穣の祭りの、生贄のことです!」

「……そうか、聞いてしまったか」

 

 司祭は神妙な面持ちで呟いた後、私を部屋の中に招き入れる。

 

「ひとまず座りたまえ。紅茶を淹れよう」

「結構です」

 

 断って、私は椅子に座る。

 何故忘れていたのだろう。昨年のこの時期には、選ばれなかったことに胸を下ろしていたのに。

 忘れていられるほどに、生贄という悪しき風習は私達にとって当たり前のものとして存在していたのだ。

 

 

 村の北にある森の奥に、古く崩れた城がある。

 どの時代のものなのか、誰が建てたのかもわからない小さな古城。

 そこにいつからか、鬼と呼ばれる怪物が棲むようになった。

 実際に鬼を見たことがある村人は数えるほどしかいない。基本的に、鬼は森から出てこないからだ。しかし、村の誰もがその存在を知っている。

 

『勝手に森に入ってはいけない。鬼に食べられてしまうからね』

 

 子供の頃、祖母に何度も聞かされた戒め。村の子供達は、必ず大人から鬼の話を聞かされる。

 鬼は人と同じくらいの大きさで、人と同じように二足で歩くが、人よりもずっと力強く狂暴なのだという。人の言葉を話すが、人の理は通じない。人に似て非なるもの。そして、恐ろしいことに――鬼は人を食らうのだ。

 そんな鬼から村を守るため、豊穣の祭りでは一人の生贄が選ばれる。

 年に一度、肉質の良い人間を献上する代わりに、鬼は村を襲わない。森に入りさえしなければ、村の人々の平和は守られる。同じように近隣の五つの村も、この時期になると鬼に生贄を捧げる。いずれも健康的な若者で、時にはまだ幼い子供が生贄となることもあった。

 祭りのひと月前に、その年の生贄が皆に告げられる。生贄に選ばれた者は祭りまでの間、教会で過ごす。生贄に相応しい、清らかな体に――鬼にとって御馳走となるような肉にするため、丁重にもてなされるのだ。その間、生贄は世話役となる村の老人達以外との接触が一切禁じられる。

 生贄に選ばれる者は、身寄りのない者が多い。二年前に母親を亡くし独りとなった彼女が選ばれるのは、端から見れば順当といったところだった。

 だが、心のどこかでそんな日は来ないと無根拠に思っている自分がいた。彼女と二人慎ましく暮らし、子を儲け、のんびりと年を取っていく。そうした未来が待っていると、当たり前のように思っていたのだ。

 それなのに。

 

「私が代わります」

 

 口を開こうとしない司祭に、私は言った。

 だが司祭は、それはできないと首を振る。

 

「何故ですか? 私は特に病気もしていないし、生贄として問題はないはずです」

「そういう問題ではない。神が、あの娘を生贄に選ばれたのだ。その運命を変えることは許されない」

「神が何だと言うのです!」

 

 思わず私が叫ぶと、司祭は顔を強張らせた。外の者に聞かれるのを恐れたのか一瞬扉に目をやったが、すぐに私に向き直り、何ということを、と呟く。

 

「滅多なことを言うものでない」

「だって、そうでしょう。我々が鬼に怯え嘆いているのを、神は黙って見ておられるだけではないですか。救いの手も差し伸べてくれぬというのに、何故神を崇め、そのお言葉に従わねばならぬのですか!」

「人がそのように傲慢だから、神は鬼という存在をお創りになったのだ。それを忘れてはならん」

 

 窘めるように司祭は言うと、両手を組み、神に非礼を詫びる言葉を繰り返す。

 その姿を見ていると、私の中で怒りがふつふつと湧いた。

 ここで私が嘆こうが、怒りをぶちまけようが、彼女がひと月後に生贄として捧げられることは決して変わらない。この村にとって、豊穣の祭りで行われる生贄の儀式は何よりも大切なものだ。それを汚すようなことは決して許されない。

 何よりも憤りを感じたのは、それを疑いもせず、「仕方がないことなのだ」と心のどこかで既に納得してしまっている自分自身だった。 

 

「身寄りのない弱き者を犠牲に生き永らえ、それを神の意志であると嘯く。確かに、傲慢以外の何物でもないでしょうね」

 

 吐き捨てるように言い、席を立つ。

 司祭はそんな私を黙って見つめていたが、部屋を出ようとした時、背後から声をかけられた。

 

「遺される者は辛いが、遺してゆく者もまた辛いのだ。お前にできることは、彼女の思いを汲んでやることではないかな」

 

 私は答えなかった。

 司祭の部屋を出ると、先程の男女と目が合った。二人は悲しげな表情で私を見ている。

 私と彼女に、自分達の未来を重ねて怯えているのか。或いは、昨日までの私のように、自分達が引き裂かれることはないと根拠もなく信じているのか。

 その憐れむような視線から逃げるように、私は教会を後にした。

 

 

 日が落ちてきた道を歩きながら、彼女が流した涙を思い出す。

 自分が生贄に選ばれたと知って、彼女は別れを切り出したのだろう。そうすることで、遺される私の痛みを少しでも和らげようとしてくれたのだと思う。私から離れ、鬼に食われるという恐怖と一人で戦おうとしていたのだ。それ程までに、彼女は優しい人だった。

 だがそれならば、私は真実を打ち明けて欲しかった。生贄として教会に幽閉されるまでの残りの数日を、共に過ごしたかった。

 ふと、教会に花束を忘れたことを思い出す。

 昔、彼女が好きだと教えてくれた花。

 マーガレットには、〝私を忘れないで〟という花言葉がある。

 

『私がいなくなっても、忘れないでくれる?』

 

 母親を亡くした後、彼女はそう言った。頷く私に、彼女は嬉しそうに微笑んでいた。

 もしかしたら、彼女はあの頃から、こうなることを覚悟していたのかもしれない。そうした彼女の思いも知らず、私だけが、のうのうと日々を生きていたのだろうか。

 そんなことを考えていると、いつの間にか私は再び彼女の家に来てしまっていた。

 部屋に灯りはないが、この状況で外出しているとも思えない。私はそっと扉に近づき、彼女の名を呼んだ。

 

「……生贄の話、聞いたんだ」

 

 そう言うと、彼女が動く気配がした。

 

「君は、僕に嫌われようとあんな言い方をしたんじゃないか。少しでも僕が、君がいなくなることを悲しまないように。もしそれが僕の自惚れだというなら、このまま去るよ。でも、もしそうじゃないのなら――もう一度だけ、君に触れたいんだ」

「……会いたくないって言ったのは、本当よ」

 

 泣いていたのだろう、鼻詰まった声だった。だが昨日に比べると、多少の落ち着きを感じられる。

 

「母が死んだ時、すぐに私の番がくると思った。だからもう覚悟はできてるの。貴方との幸せな思い出もたくさんあるから、もういいの。でも、これ以上貴方といると、その覚悟が揺らいでしまう。一緒にいるほど、辛くなる」

 

 わかってほしい、と彼女は呟く。彼女の〝覚悟〟はあまりにも重く、私はとっさに言葉を返すことができなかった。

 生贄に選ばれることは、名誉であるとされている。

 皆のためにその命を捧げ、神のお傍に行くことができる。そうした考えから、人々は表向きは生贄を祝福する。そして生贄自身も、選ばれたことを喜ぶべきであるとされるのだ。それが村の中にある、暗黙のルールだった。

 つまり彼女は、死への恐怖を無理やり飲み込み、鬼に食われることを笑顔で受け入れる――その覚悟をしたというのだ。

 私は司祭の言葉を思い出す。

 彼女の思いを汲むのであれば、ここで引き下がるべきなのだろう。私もまた、恋人を見送り、その命を犠牲に生き延びる覚悟をすべきなのだ。

 しかし。

 

「ここには誰もいない。司祭様も、村人達も。だから、本当の気持ちを話してくれないか」

 

 自己満足にすぎないことは十分に分かっている。

 それでも、彼女の本当の気持ちが聞きたかった。

 長い沈黙。

 やがて彼女がぽつりと、死にたくない、と呟いた。

 

「死にたくない。私、貴方ともっと一緒にいたい。毎日二人で笑っていたい。結婚して、子供を産んで、幸せに暮らしたい。おじいちゃんおばあちゃんになって、手をつないで散歩して――最後まで、一緒にいたい」

 

 堰を切ったように溢れ出した言葉は、徐々に嗚咽を含んで聞き取れなくなっていく。私も涙が止まらなかった。

 過ぎたことを望んでいるわけではないだろうに。ただ二人、苦しみや困難があろうとも、共にいられれば良いのに。

 何故神は、それを許してくださらないのか。

 しばらくの間声を上げて泣いていた彼女だったが、徐々に落ち着きを取り戻し、しゃくり上げながら言葉を紡ぐ。

 

「何があろうと、私が生贄として死ぬことに変わりはない。でも、いいの。そうすることで、貴方の命を救うことができるんだもの」

「君がいない世界で生きることに意味はないよ。それに、すぐに僕も生贄になるかもしれない」

「そうね。いつかは貴方も選ばれるのかもしれない。それでも、一年でも貴方が長く生きてくれれば、それでいい」

 

 どこかすっきりした様子で彼女は言う。

 私はもう一度だけ扉を開けて欲しいと頼んだが、やはり彼女は断った。彼女の覚悟は、到底私に覆すことができるようなものではなかった。

 

「さようなら」

 

 再び別れを告げる彼女に、私はすべての思いを吞み込んで、震える声で別れを返した。

 

 

 家に帰ると、祖父母は既に就寝していた。

 幼い頃に両親を亡くした私は、祖父母と共に暮らしている。二人が天に召されれば、私も生贄の候補となるのだろう。

 私は暖炉脇の椅子に座り、声を殺して泣いた。

 彼女はずっと、この時がくることを覚悟していた。何気ない話をして笑っていた時。二人で肩を寄せ合っていた時。些細な喧嘩をした時。一つ一つの思い出の中にいる彼女は、それを微塵も感じさせなかった。隣で何も知らずに暢気にしていた私を、彼女はどんな思いで見つめていたのだろう。

 何故神は、私と彼女の運命をこのように定めたのか。たとえ傲慢と言われようとも、私は神への怒りを抑えることができなかった。鬼という存在を創り出した神を恨んだ。

 私には最早、彼女のためにできることは何もないのだろうか。

 その時、ふと顔を上げた視線の先に、あるものを見つけた。

 暖炉の横に飾られた、鈍い光を放つ剣。

 若い頃王国騎士だった祖父のものだった。その役目を終えて数十年経っているが、今でも祖父は、思い出を慈しむ様に大切に手入れをしている。 

 幼い頃、祖父に剣を教わったことがある。私は乗り気ではなかったのだが、身を守る術は必要だと、一通りの基礎を教えてくれた。

 お世辞にも筋が良いとは言えなかった私に、祖父はこう言った。

 

『大切なものを守る戦いの時に、剣の腕がどうかなど、大した問題ではない。必要なのは、必ず守るという強い意志なんだ。それさえあれば、負けることはない』

 

 鬼と戦った者の話は、聞いたことがない。

 過去にはいたのかもしれないが、今も生贄の儀式が続いているということは、少なくとも鬼に勝った者はいないのだろう。

 自分に鬼と戦う力などない。

 それでも、もし彼女を守ることができるのなら。

 

 

 祖父母が起きてくる夜明け前、私はそっと家を抜け出し森へ向かった。祖父母へ短い手紙を残し、鬼を倒すための剣を持って。

 うっすらと日が出てきたにもかかわらず、北の森は暗く、|鬱蒼《うっそう》としている。獣達は鬼を恐れているのか、息を潜めているようだった。鳥の声さえしない。鬼は人しか食べないというが、森の住人達にとっても|忌避《きひ》すべき存在なのだろう。

 生け贄を捧げることによって守られるのは、あくまで村を襲わないという約束のみである。森に入れば、皆等しく鬼の餌となる。故にほとんどの村の者は決して近寄らないが、時折無謀にも木を伐《き》ったり、獣を狩りに入る者もいた。年に数人、行方不明になる者が出るのだが、彼らは鬼に食われているに違いない。

 そして私は今、その者達よりも更に無謀で愚かなことをしようとしているのだ。

 

 しばらく歩くと、木々の向こうに古びた城壁が見えてきた。

 更に進むと、城の全体が見えてくる。

 静寂が神聖な雰囲気を醸し出している森の中で、その古城は異彩を放っていた。城壁は崩れ、門は開いたままになっているにもかかわらず、侵入者を拒む禍々しさがあった。

 門を潜ると、荒れ果てた庭が広がっている。城主がいた頃は、さぞや立派な庭園だったのだろう。割れた敷石や風化した彫刻達が、それを物語っている。

 鬼は城のどこにいるのだろうか。一歩踏み出す毎に、鼓動の音が大きくなる。腰の剣ががちゃりと重い音を鳴らす度に、私の体は強張った。

 長い時間をかけて庭を抜け、ようやく城の入口に辿り着く。長い年月で扉は腐り、崩れていた。

 そっと中を覗き、私は息を吞んだ。

 骨。骨。骨。訪問者を歓迎するためのホールであっただろう広間に、おびただしい数の人骨が山となっていた。ボロボロになったものもあれば、比較的揃った新しいものもある。子供のものと思われる一回り小さい頭蓋骨も、あちこちに転がっていた。

 

「うぐっ……」

 

 猛烈に吐き気が込み上げてくる。私は壁に手をつき、えずいた。胃液がぽたぽたと落ちる。

 骨だけなのが、せめてもの救いだった。広間は開け放されているからか、腐臭もない。

 ただそれでも、これだけの人間がここで無残に食われ、命を落としたという事実は耐え難いものだった。

 そしていずれ、彼女も同じ道を辿るのだ。

 脳裏に浮かぶ彼女の涙に、私は自分を奮い立たせた。そうはさせない。たとえ刺し違えてでも、私は鬼を討たなければならない。

 その時だった。

 

「お前、何だ?」

 

 背後からぞっとするような、ゆっくりとした声が聞こえる。

 私は剣に触れることもせず、呆然と突っ立ったまま振り向いた。

 そこにいたのは、まさしく異形であった。

 背丈は私より少し大きい程度だったが、その肌は血に塗れたように真っ赤だった。無造作に伸びた髪の間から、二本の角が天に向かって伸びている。猪の牙のようだが、ずっと太く、恐ろしい。手足の爪は鋭く伸び、口からは収まりきらない牙が飛び出ている。醜く歪んだ顔、全身を覆う岩のような筋肉。腰に巻いたボロボロの布切れは、よく見ると、豊穣の祭りで生贄が身にまとう装束だった。

 これが、鬼か。

 

「お前、何だ?」

 

 まるで警戒などしていない様子で、鬼は同じ言葉を繰り返した。

 私は我に返り、ようやく剣を抜く。ずしりとしたそれを前に構え、鬼に対峙した。

 だが鬼は動かず、頭だけを傾けてこちらを見ている。

 

「お前を殺しに来た」

 

 深呼吸をしてから発した声は、ひどく震えている。

 自分で言いながら、滑稽だ、と思った。殺す? この鬼を? どう見ても、私が勝つ可能性などない。あの体に刃が通るのか、それすら疑問だった。

 だが、それでも私はやらねばならぬのだ。

 

「うわああああ!」

 

 情けない叫びを上げながら、剣の切っ先を鬼に向けて突進する。

 切りつけるのは到底無理だろう。だが、勢いをつけて真っすぐ急所に突き刺せば、何とか刃が通るかもしれない。

 私がその懐に飛び込む間も、鬼は一切動かなかった。

 

「死ねえええ!」

 

 目をつぶり、心臓めがけて剣を突き出す。

 どん、という衝撃。だが、刃が肉に食い込む感触はない。

 私は恐る恐る目を開けた。

 

「……あ」

 

 私は剣を握ったまま、思わず呆けた声を出した。

 剣先は狙い通り胸元にあった。だが肉には届かず、鬼の太い三本の指が剣に添えられている。

 たった指三本で、私の剣は止められたのだ。

 剣先を摘まんだまま、鬼はその手を思い切り振り払った。

 私の体は剣とともに吹っ飛ばされ、人骨の山に叩きつけられた。

 

「ぐ、う……」

 

 がらがらと崩れ、砕けた骨の上で、全身の痛みに呻き声をあげる。

 地面にへばりつく私に、骨を踏み砕く音を響かせながら鬼はゆっくりと近づいてきた。

 やはり、駄目だった。鬼に適うはずもない。

 

「食えるものなら食ってみろ。俺はお前など、怖くない」

 

 絶望しながらも、私は剣を握り、精一杯の虚勢を張る。実際、食われることに抵抗はなかった。鬼を倒せぬ以上、彼女は食われてしまうのだ。ならば自分も、同じ運命をたどるだけだ。

 鬼は私を見下ろしていたが、屈んで腕を伸ばし、私の右足を掴む。

 そしてそのまま立ち上がると、ずるずると引き摺り始めた。

 てっきりこの場で食われるのだと思っていた私は混乱した。体はうまく動かず、引き摺られるままになっている。ただ、剣だけは離すまいと手に力を込め、鬼の動向をうかがうことにした。

 

「運がいいな、お前」

 

 そう言って鬼は、私を引きずったまま広間を出て、荒れた庭を歩く。砕けた骨でつくった傷を敷石に擦られ激痛が走るが、鬼はお構いなしにずんずんと進む。

 やがて城門までやって来ると、鬼は片手で軽々と私を放り投げた。

 地面に叩きつけられ呻きながらも、何とか顔だけを動かし、鬼を見上げる。 

 

「ごちそうまで、俺、我慢してる」 

 

 そう言って醜い顔をにんまりと歪めると、私が言葉の意味を理解する前に、鬼は城の中へと戻っていった。

 残された私は、呆気にとられたまま遠ざかっていく鬼の背を見つめる。

 何故私は食われなかった?

 ごちそうまでの我慢?

 ごちそうとは、彼女のことか?

 そう気づいた途端、全身がかあっと熱くなるのが分かった。

 鬼は我々人間を、彼女を、ただの肉としか見ていない。許さない。殺してやる。

 だが同時に、冷静に考えている自分もいた。

 御馳走まで我慢をする。それはつまり、豊穣の祭りまで人を食わないということではないか。現に、自分は食われなかった。

 祭りまでひと月。その間一切人を食べなかった鬼が、果たして今と同じ力を出すことができるのか?

 剣の腕を磨き、仲間を募り、腹を空かせて弱った鬼の隙を突けば。

 

 

 数日後。

 教会がある丘に、村の人々が集まっていた。

 

「神に選ばれし者は、ここへ」

 

 司祭の言葉に、彼女が皆の前に立つ。清らかであることを示す白い装束を身に纏ったその姿は、女神のように美しかった。花冠には、彼女が好きなマーガレットがふんだんにあしらわれている。

 穏やかな笑みを浮かべた彼女に、村人達が口々に祝福の言葉を送る。彼女が働いていた鍛冶屋の店主も。教会で彼女を憐れんでいた老女達も。私を憐れんでいた男女も。皆が作ったような笑みを浮かべ、彼女に拍手を送っている。私だけが無表情で、彼女の姿をじっと目に焼き付けていた。

 司祭が彼女に一言を促す。彼女は優雅な動作で一歩前に出ると、小さく礼をした。

 

「皆のためこの身を捧げ、神のもとへ旅立つことができるのを、心から嬉しく思います」

 

 人々の歓声が上がる。

 恐怖など微塵も感じさせない、穏やかな表情と声音だった。彼女の家で聞いた本心は、奥底に深くしまい込まれているようだった。

 一つだけ、と彼女は言葉を続ける。

 

「ただ一つだけ、私の願いを聞いてほしい」

 

 司祭が一瞬、何を言い出すのかと目配せする。だが彼女は気にも留めず、一同をゆっくりと見回し、私に視線を止めた。

 辺りはしんと静まり返り、彼女の言葉を待っている。

 その中で、私と彼女は静かに見つめ合った。

 

「私のことを、忘れないで」

 

 真っすぐな瞳で、彼女はそう言った。

 私は大丈夫だから。そう言われている気がした。

 その眼差しを受け止め、私も微笑んだ。

 

「さようなら」

 

 笑顔の彼女がそう言って深く礼をすると、大きな歓声が上がった。

 世話役の老女二人が彼女の手を取り、ゆっくり教会へと入っていく。

 私はその背中を見つめながら、誰にも聞こえないように呟き、その場を後にした。

 

 

「必ず助けるよ、シャルル」

和風ロック!

こんにちは、未完です

 

実は先月新曲出してました!

和風ロックなイメージで作りました

 

かっこいい感じに仕上がってます

ぜひ視聴していってくださいませ

 

そして今回もイラストがオシャレ

前バ様に描いていただきました

これは自分のTwitterのアイコンにも使用させていただいてます。

和風なイメージで作ったラブソングデス。

words MIKARN Twitter @mikarn777)Instagram(mikarn07) https://Instagram.com/mikarn07/ music シエシ度

illust 前バ TigerHorse(tigerhorse2021)

 

小説、歌詞、ブログ、私の世界、覗いてください。 https://mikarn777.hatenablog.com/ 今後も定期的に新曲をアップロードして行く予定です。チャンネル登録よろしくお願いします。

 

 

20曲くらい構想があるのですが軍資金が足りません。

そこでクラウドファンディングを立ち上げたのでお力添えして頂けたら幸いです。

支援.リンク https://doukei.com/mikarn777 この曲はまだ完成ではありません 人の声で歌ってみた MAD等のcover楽しみにしています。 皆様のお力をお貸しください。よろしくお願いします。

 

ボカロPになりたいわけじゃないんですけどね

ボーカルが見つからないです、なかなかね

youtu.be

parasite or HERO【歌詞】

f:id:mikarn777:20210930224646j:image


aメロ

何か理由がある訳じゃないんだけど

死にたいなんて言葉で

いつまで言い訳してるつもり?

来世なんてありはしないのに

 


bメロ

誰かが死ぬのは嫌だから一番先に逝きたいな

楽しい時より辛い時の方が生きてると

実感する、光と影暗い方だけ目に入る

灯りが見える方に視線を上げる

 


サビ

君が君で生まれた事を幸せだと確信する為に僕は生きてる、大切な人を幸せに

僕らはきっと幸せになる為に生まれてきたのだと証明するよWe're HERO

 


aメロ2

多数派が正義なら僕は悪人

明るい世界で闇を背負って生きていく

何をしても消えない希死念慮

明日が来なければいいのにね

 


bメロ 2

自分が主役じゃないのも分かってきた

でも誰かの為に生きられるなら

それはそれでいいと思えてきたよ

綺麗なあなたの為に、そうだね

 


サビ2

平凡それを手に入れる事がそれがどれほど大変な事なのかあの日の僕はまだ知らない

僕らはきっと幸せになる為に生まれてきたのだと証明するよWe're HERO

 


dメロ

息の根止めておけばよかったなんて

思われないように

いつかの誰かの為に昨日の自分の為に

我々は運命の奴隷の子

 


サビ

君が君で生まれた事を幸せだと確信する為に僕は生きてる、大切な人を幸せに

僕らはきっと幸せになる為に生まれてきたのだと証明するよWe're HERO

 

サビ2

平凡それを手に入れる事がそれがどれほど大変な事なのかあの日の僕はまだ知らない

僕らはきっと幸せになる為に生まれてきたのだと証明するよWe're HERO